Be here now

coffee

手術後、復帰を目指した時期に、私を支えた日常の言葉があります。

それは

 

”Be here now”

  今、此処にいなさい

 

誰にも会いたくない、電話にも出たくない。

今から思えば、嘘のような状態が続いた日々がありました。

うつ状態と言えたかもしれません。

食べられない、そして定期的に溜まる肺の水・・・。

ソファに背中を預けて、すぐに横になりたがる自分の姿。

こんな事じゃ、カンバックなんか出来ない。

 

時として心だけが何処かに飛んで行きそうになる。

いろいろな思いばかりが迷走して、揺れ動く心。

何とかしなければ、と目標ばかりを書き綴り、展望の見えないまま、ますます落ち込んで行く。

完全に負のスパイラル状態に嵌っていました。

 

その頃、私は自分から心療内科を尋ねました。

問診の後、その女医さんは、とても淡々として、あっけないくらいの質問をされました。

「小渕さん、あなたはどうなりたいのですか?」

私はとっさに答えました

「自信を取り戻したいのです!」

ドクターの言葉はとても単純なものでした。

「あなたの自信は、きっと食べられるようになって、体重が増えてきたら回復しますよ」

 

その夕方、書棚の整理の続きをしていた時、まためくった頁に、記された言葉。

“Be here now”

偶然とは思えない、この言葉との出会いに、私はハッと気が付いたのです。

何をゴタゴタ考えていたのだろう?

ドクターの言ったように、答えはまったくシンプルそのもの。

いま、此処にいなさい

だったのです。

 

どんな目標を立てても、いま此処にいる自分を動かすことが出来なければ、そんなものは空想に過ぎない。

自信を取り戻したいなら、いま何をすれば良いか・・・。

実に単純明快な事でした。

食べること。身体を作り直すこと。

自分の身体の状態を知ろうともせずに、投げたしていた事に気が付いたのです。

どうしたら体力を作り、身体を回復させていけるか。

いま私がすることは、そこからなのだ、と。

 

私は、あらゆる情報を調べて、自分にとって最適な方法を探し始めました。

題して「小渕の身体改造計画」です。

その頃のノートが何冊にもなりました。

 

そして、3ヶ月、6か月と、身体は確実に変化を現わしたのです!

ヘシャゲてパンツがはけなくなっていたヒップに、筋肉が付いてきました。

術後にずっとかばっていたせいで、猫背になっていた背中に筋肉が。

当然、背筋も伸びてきます。

私は自分の心を支えるために、パンプスだけは脱がなかったのですが、

筋力のない脚は、一歩進むのにもエネルギーがいりました。

 

それが、すっと前に踏み出して、我ながら、”ok!”サインが出せるようになったのです!

勿論、その為の体幹を鍛えるトレーニングも計画に取り入れ、実践して行きました。

自分自身のなりたいイメージの目標を、具体的にしたからです。

 

それは今も続いています。

私にとって”Be here now”とは、まさにリアルタイムな事実そのものなのです。

 

羽田空港の米子便の搭乗口は、とんでもない僻地に位置しています。

かつて私は、その長い長い道のりを、立ち止まりながら歩いた時期がありました。

いまは、パンプスで闊歩しています!

飛行機が加速をつけて飛び立つ瞬間、私はいつも呟きます。

“Be here now”