ザ・浅草ですね

2016.08.08

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久しぶりの記事です...。

 

8月の昼下がり、浅草雷門前は人で溢れかえっています。

ご一緒した彼女に着物で浅草に繰り出しませんかと言ったものの、この暑さと人混みでは着物で・・・なんてちょっと不味かったかなと。

スカイツリーができてから、外人観光客もますます増え続けているらしい。子供の頃から馴れ親しんだ者にとって浅草は観光じゃなくて、チョッとはすっぱな遊び場でした。だからいつも大人と来る場所。一人で行っちゃいけない場所でした。

年末の羽子板市はよく母と来ていました。
女の子のお嫁入りの持ち物として歌舞伎役者を描いた絹の重たいのを買うのです。私は27の時に勧進帖を買ってもらいました。随分と値の張るものを、掛け合いで競り落とす。交渉成立で、売り手の店主が「お手を拝借っ」と言うと取り巻いていた冷やかし客も
一緒になって「よっ、三本締めっ」となるわけです。

デパートなんぞでは絶対に見られない光景でした。

同じ浅草線の日本橋三越に行く時の母と、浅草に繰り出すときの母は全く別人のようでした。どちらが本当の母だったのか、いまでもよくわかりませんが・・・。

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母と浅草に行くときに、私には密やかな楽しみがあったのです。
それは「神谷レストランのスキンライス」。ホントの店名は「神谷バー」だった事をずっとあとになって知りました。

此処は大人達大衆の社交場としてグラスを傾けるところだった。決して子供なんぞが行く場所じゃなかったのです。でも何故か母は私をお供に、この神谷レストランに行きました。
お酒はの飲めない母は決まったように「お冷やお願いします」と言って冷たいお水を貰い、チキンライスを注文します。グリンピースの乗っかったケチャップのご飯を口に含むとき、私はいつも自分だけが大人の世界に触れた気持ちになったものです。

そして本当に久方ぶりに「神谷バー」の二階に。

浅草ぐらいですよね。ロウで作ったステーキとかコロッケとかが、ちゃんと恥ずかしげもなく硝子の中に陳列してある。それがまた妙に似合うのです。

浅草は文学との繋がりの深い街。樋口一葉に始まり、永井荷風、啄木、萩原朔太郎、坂口安吾・・・。きっと作家達は、この素人っぽくない浅草と言う街に魅了され通い続けたに違いない。

それでも麻の着物を粋に着こなしてこられたNさんと案内された席に座り、昔ながらのメニューを注文。

隣の席の男連れ。
きっと常連に違いない。「先ずはじゃーまんぽてとビール」と。私はそのじゃーまんぽてとの響きが可笑しくて、思わずそれを注文。彼女はチキンライスを頼んだのですが、なんと玉子が絡まっています。
それ、オムライス?店員の女の子が一言「いえ、チキンライスです」

そうなの? 私の食べたのはそんな玉子なんて絡まってはいなかった!ザ・浅草ですねと彼女はコロコロと笑い転げていました。
そう、此処は浅草なのです!

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